ダイオキシンは人類が生み出したなかで、史上最悪っていわれる猛毒物質。ベトナム戦争のときにまかれた枯れ葉剤に入っていたことでも有名で、このときはベトナムの人達のあいだに大きな被害をもたらしてしまった。
このダイオキシンが、最近では、さらにもっと悪い働きをもっていることがわかってきたんだ。
1960年代、アメリカで、ワシの80%がこどもを産めなくなり、続いて、1970年代には、カナダのカモメのヒナの80%が死んだり、大量の奇形が生まれるといった異常が起きていることが発見された。さらに、1980年代になると、アメリカのフロリダでは、ワニが卵からほとんどかえらなかったりということもおこったんだ。そのほかにも貝や魚のメスがオスになってしまったり、いろいろな現象が起きてきた。
当時は原因がぜんぜんわからなかったんだ。でも、その後の研究でダイオキシンが原因だということがわかってきた。じつはダイオキシンはほんの少しの量でもこんなことを起こすんだよ。たとえば、貝の例では50メートルプールに一滴たらしたぐらいの量でも、メスのオス化がおこったんだ。
これは、ぼくたち人間も例外じゃない。いま男性の精子の量が20年前と比べて半分に減っていて、これが進むと、ぼくたちは子孫を残せないってことになってしまう。「人類が滅亡する」ということになってしまうかもしれないんだ。
ダイオキシンはどこから生まれるんだろう。
まだ全部わかっているわけじゃないんだけれど、ゴミを燃やしたときの煙や灰にたくさんふくまれているんだ。この煙や灰が水や土を汚染し、魚や草木や動物を汚染して、そして最後にぼくたちも汚染されるのです。
しかし、日本ではダイオキシンについての対策はほとんどされていないんだ。